「いや、実際そうなんだろうな」



私のつぶやきに対し、冴が静かに続ける。



「おそらくオレらが学校にいるあいだに木が伐採され、長い年月見えない場所で眠っていたこの祠が日の目を浴びることになった。理由は知らねぇけどな」



淡々と告げられる言葉に、どうしてか心臓が速くなった。



何十年、いや、何百年ここにいるのか。
その体はボロボロで、何本もヒビが入っていた。



「なんなんだろうね、この祠。道祖神とかではなさそうだし…」



都は祠にこびりつく土を払い、前後左右をくまなく観察していく。



すると、なにか見つけたのかピタリと動きが止まった。



指先で触れたそれは、なにか、文字だった。





「から…しし」





幾年も重なる傷だらけで歪な文字を撫でながら、都は囁くように言った。



「からしし?」



なんのことが分からず、都の言葉をなぞれば──




刹那

冴の顔つきが、変わった。