「おれは家業継ぐかな」



サラリと言った優。



優の家は米農家をしていて、敷地内に大きな蔵がいくつもある。



都会的な雰囲気に反して住んでいる所は、まるで武家屋敷さながらだ。



幼いころは、優の家に遊びに行くたび迷子になっていた記憶がある。



優の口から家業という単語が出るたび、あまりに本人には似つかわしくない現実が頭をよぎって違和感がすごいのだ。



「そーいやそうか。いいなお前は楽そうで」

「隣の芝が青く見えてるだけだよ」



優は冴の言葉を適当にかわすと、その視線を私に移した。



「どう紅羽、お嫁にくる?」

「えっ」



本気なのか冗談なのか。
あいかわらず読めない表情を向けられて困惑する。
この男はいつもこうだ。



「からかわないで」


「えー、おれのお嫁さんになってよ。一生独身はつらい」


「なんだ優それどーいう意味だコラ!」



私が反応する間もなく冴が噛みついてくる。


なんだか恥ずかしくて、ぷいと顔を背けた。