「すまん、遅れた」
聞き馴染みのある、凛とした声。
何人もいる空間なのに、涼しげな目元は迷いなく私を捉える。
「おー!八尾!やっと来たか!」
冴がうれしそうな声をあげて駆け寄っていく。
誰が協力を願ったのかは明白で、ガルガル唸っていた冴すら笑顔にさせてしまう存在にどこかホッとする自分がいた。
「まったく、朝からうるせぇとおもいきや……なんだよこの集まりは」
「いろいろ事情があるんだよ!きちんと全員に説明するから、座れ!」
力強く椅子に押し込まれる八尾。
朝一で冴の弾丸おねだりビームを食らったのだろうと想像がつく。
冴は黒板の前に立ち、着席した全員をぐるりと見回した。
「八尾、叶恵、望結と、ぐぬぬ……納得いかねぇが鳴海、よく来てくれたな!どうもありがとう!」
カラッと夏の太陽のような笑顔で礼を述べる冴。
しかし、その笑顔はすぐに引き締まる。
「今からする話は、にわかに信じ難いモンだとおもう。が、紅羽と優は実際に体験し、オレと都も自分のことと思って受け止めてる。だからこれは命令だ、オレたちの話を信じろ」
清々しいほどの命令口調。
しかしそれになにか反論があがれば、私が冴の盾になって声をあげようと決めていた。
が、幸いなことに4人は真剣に話を聞いてくれている。
「山から、唐獅子様がおりてきたんだ──」



