「行かせたらきっと紅羽ちゃん食べられちゃうから」
「え!な、なにそれ」
「川栄の目、ちょっと怖かったでしょ?」
ぎくりとする。
全身で私を求めているような、執着をも感じる川栄くんの双眸。
あのとき体が固まってしまったのは、いまおもうと恐怖に近いものに支配されたからだと自覚する。
けど、それは今に始まった話じゃない。
冴も、都も、優も。
私に迫るとき、まったくおなじ目で見つめてくるんだ。
高校生の私には縁の無かった、愛や恋のさまざま。
恋バナとか漫画とか、そういった間接的なものでしか触れてこなかったけど、実際は……ものすごく怖いものなのかもしれない。
「ごめん……怖かった、かも。助けてくれてありがとう……」
「どういたしまして。紅羽ちゃんがとられなくてよかった」
よしよしと、私の頬を撫でる手はやっぱり熱くて。
それから鳴海くんは私のことを空き教室まで送ってくれた。



