走って走って、たどりついたのは階段の踊り場。



ここが何階かも把握できないまま肩で息をする。




「な、るみ、くん……」

「ごめん、無理させちゃったね」




背中をさすられる。
シャツ越しに触れる鳴海くんのてのひらは熱かった。




「えっと、その」




いつから見ていたの?



川栄くんと話してたことって?



ききたいことが多すぎて言葉にならない私の心境を汲み取ったのか




「出歯亀したかったわけじゃないんだ。通りかかったのは本当に偶然」




誤解をほどくように優しく笑う鳴海くん。



なんでも、友達にバスケに誘われたので体育館へ向かおうとしたところ、その道中で告白現場に遭遇したらしい。




「でも……勝手なことしたよね。ごめん。もし川栄の気持ちに応えるつもりなら今からでも戻ってあげたほうがいい」

「わ、私は」




川栄くんに恋愛感情はない。



というか、恋というものがまだよくわからないから、私と付き合ったとしても川栄くんだって楽しくないはずだし。




「なんてね。……行かせないよ」




妖しく、身動きを封じるみたく。
甘さだけでない圧を秘めた瞳で見下ろされる。
伸びてきた指が、汗で頬に張りついた私の髪をやわらかい手つきで梳いた。