「お前らふざけんな!その手を離せっ」



ガタガタと席を立つ冴に優がにやりと笑う。



「なーに、もう紅羽の手は空いてないよ?あ、おれの手でも握る?」


「気持ち悪いこと言うな!」



見慣れたやりとりにおもわず笑ってしまう。



「優ってほんと冴の扱いうまいよね」



隣で一緒に笑っていた都が言う。



そのとおりだと思う。
からかい合うふたりはまるで兄弟のようだ。




「紅羽!紅羽はオレと帰ろーな!」

「は?だめに決まってんじゃん」






騒がしい放課後の教室。



おかしくて、楽しくて
私たちの笑い声が朗らかに響いていく。