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来たる昼休み。
叶恵と望結には先に空き教室へと行ってもらい、私は職員室へ提出物を届けに向かった。
用が済んだ道すがら、ひとりの男子生徒に声をかけられる。
「山岸、ちょっといいか?」
隣のクラスの川栄くん。
2年のときに同じ園芸委員会で、毎朝一緒に水やりをした思い出がある。
川栄くんは花なんて柄じゃない見た目をしてるし、実際めんどくさそうにしていたけど、共に他愛もない話をしながらジョウロを傾ける彼はなんだかんだ笑顔が多くてうれしかった。
連れられたのは校舎裏。
すぐそばにある誰も通らない渡り廊下はシンとしていて、蝉の鳴き声だけが存在している。
「どうしたの?なにか伝えたいことでも……」
「好きだ」
あまりに端的で、まっすぐな言葉に面食らってしまった。
「え、えっと、す、好き?」
「うん。2年のころからずっと、山岸のことが好き」
かったるそうに花を見つめる顔。
私の話に歯を見せた笑顔。
私が見てきた川栄くんの表情をぜんぶ塗り替えてしまうくらい、心臓を強く揺さぶる真剣なまなざしだった。
首から上に熱が灯りはじめ、おもわずうつむいてしまう。
川栄くんはそんな私に一歩近づくと、頬に揺れる黒髪を撫でた。



