「ま、引き続き村のヤツらへの呼びかけはしていくとして……ほかにできることはまだあるはずだよな」
冴が私たちに視線でうながした。
「私……正直まだ不安だよ。祠の修復がどれだけの時間稼ぎになってくれてるのか。もしかしたら明日には唐獅子様がくるんじゃないかって……ううん、今日にでもなにかが起きるかもしれない」
渦巻く期待と不安。
その不安の部分を覗いてしまえば、いくらだって要素は溢れてくる。
「私たちはまだ唐獅子様のことを知らなすぎる。自分の生きている村の神様なのに、決めつけて、まるで怪物のような扱いでしょ?」
「たしかに……俺たちに伝承を受け継いでくれた大人たちは、唐獅子様を守り神とはとても思っていないような口ぶりだよね」
私の言葉に都がうなずいた。
そう、そうなんだ。
守り神なんて役割、まるで取ってつけたようなものに感じてしまう。
「怖くても逃げたくても、きちんとその存在について、本質が掴めるまで向き合う必要があると、私はおもう。きっと今がそのタイミングなんだよ。それに、村の人が最低限のことしか唐獅子様について口に出さないのにもなにか理由があるのかもしれない」
ぎゅっと、震えかけていた手を握りしめる。
「唐獅子様のこと、調べよう」
3人に告げた。
たとえ却下されても、ひとりでやってやるつもりだったけど
「ま、敵を倒すには、まずその敵を知ることからだしな。協力するぜ」
あたりまえだ、とでもいうふうに強いまなざしで返してくれる冴。
「もちろんだよ。唐獅子様から紅羽のことを守る方法も分かるかもしれないしね。頑張ろう」
いつもどおり過保護に、しかし頼もしくほほえむ都。
「紅羽がやるなら、おれもやる」
唐獅子様へのモチベーションはゼロだけど、そばにいることを選んでくれた優。
足もとに沈殿する真っ黒な塊はけっして消えない。
けど、大好きな3人がいるかぎり、私は目をそらさずに対峙できる気がした。



