「ちょ、ふたりとも…」
優と都にサンドされる形になり、どうしたものかとまごつく私。
ふたりの顔を交互に見れば、どちらも無邪気な表情を浮かべていた。
いつかの懐かしい日々を思い出す。
暑い暑い小学校の夏休み。
横並びで進む畦道。
真っ青な空の下で響きわたる4つの笑い声。
おそろいの麦わら帽子をかぶり、優と都にはさまれて、私たち3人は手を繋いでいた。
視界の先にはひとり走っていく冴の姿。
その背中を追うように蝶が飛んでいく。
そんな光景を目を細めてながめていた。
なにをするわけでもないのに、ただ楽しかった日々。
光り輝くのは大切な思い出ばかり。
あっというまに年月は過ぎ、私たちはもう高校3年生。
人は成長するにつれて関係性も変わるものだけど、私たちはなにも変わらない。
こうしておかしく笑っていられる。
その事実がこのうえなく幸せだ。



