「手詰まりか?あー歯痒いなぁ!!早くしねーと贄が出ちまうよ!!」
冴がぐしゃぐしゃと髪を掻き回す。
そんな冴の様子を見ていた都の顔がふと変わった。
「ねぇ冴、真っ二つになった祠を発見したとき、供物の髪は無くなっていたんだよね?」
「え?あぁ、そうだけど」
「それならさ、できるかぎり祠を修復して、贄の代わりである髪をもう一度供えてみるのはどうかな?」
「修復って…簡単に言うなよ」
「でも祠は粉々ではなかったんでしょ?完璧じゃなくてもいいよ。もともとかなり劣化していたし、あるていど戻せれば少しは唐獅子様を騙せるかもしれない。それに」
都の瞳に、一瞬影が落ちた。
「きっと、重要なのは供物のほうだから」
言葉の意味はうまく汲み取れないのに、なぜか首筋の裏がひやりとした。
唐獅子様の贄への執着は…きっと凄まじいのだろう。
「おーけー。ここで時間食ってる場合じゃないし。さっさと供物の髪束を用意しよーか」
「だな。たしか中村んち、床屋だったよな?そこから貰ってくるか」
そうとなればさっそく動き始める優と冴。
そんなふたりのやりとりに、私はすっと手を挙げた。
「私の髪じゃだめかな」
背の真ん中まである私の黒髪がさらりと髪になびく。
一瞬押し黙った3人はいっせいにこちらを向いた。



