「冴の気持ちも分かる。優の言うことも間違ってない。けどそれは今するべき口論ではないよね」
都がふたりの間に立った。
「目の前の問題を見よう。唐獅子様の扱いがどうであれ、攫われかけた人間がここにいるんだ。俺たちは、紅羽を守るって決めただろ?なら今集中するのはそこでいいじゃないか。
唐獅子様は…もう来ているんだから」
夏風が唸った。
こんな恐ろしい事実、都に言わせたくなかった。
怖くて、逃げ出したくて。
先人たちも同じ気持ちだったのだろうか。
どうしようもないことでうじうじ悩んでいるひまはない。
誰よりも先に唐獅子様の存在を危惧した私たちができることをしないと。



