「紅羽のこと守れる手段が増えるなら何しようとべつに構わねーから優の提案には賛成すっけどよ。気になることがあんだよな」
冴に関しては完璧に唐獅子様を敵とみなしているようだし、倫理観については言及せず続きの言葉に耳を傾けた。
「唐獅子様ってのは土地神なんだよな?そんならこの村を統べてるといっても過言じゃないはずだろ。なのに、そこらで朽ちてた古い神様なんかになにをビビッてんだよって思わね?」
「こら冴。その神様にビビッてくれたから紅羽も優も無事なんだよ?言葉を慎みなよ」
とっさに都が注意する。
それでも腑に落ちない様子で唸る冴は、難しそうに首を捻った。
「まぁそーなんだけど、そーじゃねーんだよ。紅羽が助かったのはめっちゃ嬉しいんだけど、なーんか気持ちわりぃ。第一なんだよ?その唐獅子様がビビッて逃げ出すようなモンがある社ってよ」
「まだ確実なことは分かってないし、私たちにはなんとも言えないよ。ほら、もしかしたら神様同士の相性が悪かったって場合もあるかもだし…」
「だからってしっぽ巻いて逃げんのか?オレらの土地神は村を守る代償に贄を分捕ってく野蛮な唐獅子様だぜ?モノだろうと神だろうとタダではやられねぇと思うがな」
「それは唐獅子様への風評被害すぎる…」
「そもそも気持ちわりぃんだよ。贄がねぇと村を守らない唐獅子様から、贄が出ねぇように逃げていく様がよ。オレらの先人たちは一体なにしてきたんだ?唐獅子様に向き合ってきたのか?」
深い深いところまで話を進めていく冴に、私の感じていた違和感を一突きされた気分になった。



