それからふたりは落ち着きを取り戻し、私と優は話を再開させた。



唐獅子様の姿。
そして、優の提案についてだ。



「へぇ、囃子隊みてぇなやつらもいやがんのか。大所帯でご苦労なこった」



冴は嫌悪剥き出しの口ぶりで吐いた。



「つーか人に化けてんのも普通にきもいよな。獅子頭の人間とかわりとショッキングだろ」


「まぁ、そうだね…」



歯に衣着せぬことを知らない冴の言いように苦笑いがこぼれる。



私たちは言い伝えでしか唐獅子様のことを知らない。
見た目も、囃子の音も。



この土地の文献になら詳しいことは載っているはずだが、共通認識で『恐ろしいもの』と小さい頃から刷り込まれてきた存在をわざわざ調べようとは思わないのだ。



もちろん親世代もその上の世代も。
自分の子に言い伝えるべき部分以外は触れようとしない。
わかりやすく忌避している。



おかしな話だ。自分の村を守る土地神様を腫れ物のように扱っているのだから。



まぁ実際にこの目で唐獅子様の存在を確認し、恐怖に慄いた私が言えることではないけれど。