「いいか紅羽。
これからはいつでもオレを呼べ。
深夜だろうと早朝だろうと駆けつけるから」
冴は力強く言ったあと、ひとりマイペースにお弁当を食べている優に視線を移した。
「わりぃ優…。紅羽のことありがとうな」
「いえいえー。
かわいー紅羽が無事でよかったね」
こちらに目もくれず棒読みで返事をする優。
昨晩の様子はどこへやら。
あの熱を帯びた瞳がいつまでも忘れられなかった私は拍子抜けしてしまった。
頼もしくて、怖くて、甘くて…
そんな優のたくさんの顔はまぼろしだったのだろうか?
冴にバシバシと背中を叩かれながらお礼殺しをされている優を見る。
きっと私をからかっていただけなのだと無理やり納得させて飲み込んだ。



