ぽつりと呟いた言葉は誰にも拾われることなく消えていった。

 七月は安心しきっているのか規則正しい寝息を立てて眠っている。

 その無防備さに思わず頬が緩むのが分かった。

 僕はおもむろに七月の頬に手を添える。

 さっきのことを思い出してふふっと笑みを零した。

 ……まさか七月が撫でてくれるなんて思わなかったけど。

「僕が守るから……。」

 あの日から僕は七月を守るって決めたから、七月を幸せにするって決めたから……。

 なのに、七月に苦しい思いをさせちゃった……。

 七月のこと、誰よりも分かってるはずなのに傷つけちゃった。

 ……ダメダメだな、僕。

 そんな自己嫌悪に陥りかけた僕に澄んだ声が聞こえた。

「星君、そんな悲しい顔しちゃダメだよ?」

「な、七月!?」

 さっきまで眠っていたはずの七月がまだ眠たそうにしながらも僕のほうを見ている。

「七月、体大丈夫!?変なところとかない!?」

 慌てて七月に確認を取る。

 さっき負担をかけすぎちゃったから何かしらの影響があってもおかしくない。

 そう考えたけど七月は首を横に振って微笑んだ。