空から降ってきた星君

 え、どうなってるの……?

 思い出そうとすればするほどもやがかかったように白くなっていく。

「何で?どうして思い出せないの?」

 誰に対して問うわけではなく、自分に言い聞かせるように言った言葉が部屋に溶ける。

「やっぱり……。」

 小さく星君が何かを零したけどそんな場合じゃない。

 私が思い出せたのは、あの時の記憶だけ。

 ……お母さんが、事故に遭った日のこと。

 その記憶だけはいつまでも鮮明に覚えていて離れない。

 それ以外のお母さんとの思い出はどうしても思い出せないのに。

「や、いや……。」

 そんな自分が怖くなって頭を押さえる。

 あ、ダメかも……。

 意識が曖昧になった時、ふわっと星君に抱きしめられた。

「……っ、ごめん七月。僕が六年前のこと言い出したから……っ。」

 その声は悔やんでいるように苦しそうで、こっちも苦しくなってくる。

 違う。星君は何も悪くない。

 ……悪いのは、何も思い出せない私。

 むしろ星君には感謝しなくちゃいけないのに。

「ううん、私が悪いの。思い出そうとするだけでこんな状態になる私が。」