「星君、ちょっと待ってて!」

 そう言って七月は反対方向へと走っていった。

「七月!?」

 驚いてそう呼びかけてみるけど七月が戻ってくる気配はない。

 僕も急いで七月の追いかけて人の中を走り抜ける。

 急にどうしたんだろう……っ。

 七月を僕の近くから離さないようにずっと隣で見てたのに、僕は何に気づけなかった?

 もし七月に何かあったら……考えるだけで怖くなってくる。

 一旦立ち止まって辺りを見渡すけど七月の影は見えない。

 平日なのに人が多いせいで余計に分かり辛くなっている。

 七月、どこ行ったの……!

 その時に誰かに声を掛けられた。

「あ、あの!」

 焦っていたけど体裁だけは守りたくて声のしたほうを向く。

 そこには数人の女子が僕のほうを見ていた。

 面倒なことに巻き込まれたな、と思いつつ彼女らが話し出すのを待つ。

「私たちと、お茶しませんか?」

 女子の中の一人が顔を赤らめながらそう聞いてくる。

 そのまま話さなくても良かったのに……と思いながらその誘いを断った。