七月しか見てこなかったし、僕の世界は全て七月基準だ。

 七月は僕の愛に全く気付いてない様子だけど、今に分かるから。

 嫌って思うほど、うんざりされるほど、七月に愛を注ぐから。

 せっかくのこのチャンス、逃すわけにはいかない。

 人間界に来る前、神様に言われた言葉を思い出す。

『人間界に行くなら、あの少女を必ず助けなさい。それがあなたの条件です。』

 神様も結構あっさり承諾してくれたから何事かと思ったけど、神様には全てお見通しってわけか、と妙に納得してしまった。

 神様なら、僕の願いにも気付いてるよね?

 僕の願いはたった一つなんだから。

 願いを頭の中で反芻し、七月に微笑んだ。

 ……七月にも早く自分の願いを言ってほしいな。

 そんなことを思いながら。