空から降ってきた星君

「んー……。」

 その時、七月が近くに置いてあったぬいぐるみを抱いて、何かを堪えるように丸まっているのに気が付いた。

「おかあ、さん……行かないで。」

「……っ。」

 僕は七月の寝言に思わず言葉が詰まった。

 七月は今でも、”あの事件”のことを割り切れていない。

 いや、割り切れるはずがないんだ。まだ七月は中学生なんだから。

「や、行かない、でよ……。」

 うー、と言葉を漏らしぬいぐるみに顔をうずめる七月。

 僕は七月の頭に手を伸ばし、そっと撫でる。

「大丈夫だよ、七月。」

 言い聞かせるように呟くと、不思議なことに七月はまた規則正しい呼吸に戻った。

 僕の声、聞こえてるのかな?

 そうだったら良いのに、と思いながら小さい時の出来事を思い出す。

 僕がまだ、妖精として半人前だった時のこと。



 六年前、僕はやることがなくこっそりと天界から抜け出した。

 まだ小さかったこともあり、あっという間に迷子になった僕に話しかけてくれたのが幼い七月だった。

『……君、どうしたの?』