「あのさぁ神様、本当に行かなくて良かったわけ?」

 七夕の日から三日後の夜、天界で僕は目の前の人物もとい神様にそんな質問を投げた。

 この前の七夕、本当は神様が願いを聞き入れに行くはずだった。でも急遽、僕に任された。

 それが今でも不思議で仕方がない。

「行かなくていいってこの前も言ったでしょう?私が行くとあの子と離れがたくなっちゃうし。」

 そう言って呑気な返事を返してくる人物にため息を吐く。

「そうは言っても、顔見るくらいしてくれば良かったんじゃない?未練残ってるくせに。」

「本当、彗には全部お見通しなのね。……そうねぇ、少しそう思ったけどやっぱりあなたが行ったほうが結果的には良かったのよ。」

「ふーん。」

 本心を言わない神様に少しだけ不満に思う。

 神様が頑なに自分の意思を言わないのは分かってる。だから無理に聞こうとなんてしない。

 ……でも、好奇心には勝てないよね。

「神様、後でチョコバナナクレープ買ってあげるから本当のこと教えて?」

 神様の隙を突いて餌付けを仕掛けると、案外あっさりと引っかかってくれた。