七月の様子が昨日からおかしい。

 昨日なんて急に七月から抱き着いてきたし、挙動不審なところがある。

 それにさっきのこと……七月が突然、僕から離れてしまった。

 お祭り会場は人が多く、誰か一人を探すことなんて困難。

 七月の言葉で一瞬だけ油断したけど、まさか離れるなんて思ってもいなかった。

 急いで七月の背中を追いかけて走り出す。

 この前もあったなぁ、なんて考えながら走るスピードを上げる。

 そう言えばさっきの七月の表情、悲しそうだった。

 何であんな表情をしたのかは僕には分からない。だけど”何か”があることは確実だと思う。

 この前のナンパの件で注意深くしたつもりだったのに……僕はダメだ。

 七月の願い事のことだってそう。僕が見つけてあげる、探してあげる、なんて言ってたのに結局は何もしてあげれてない。

 僕は七月だけいてくれればいい、だから七月に嫌われでもしたら生きていけないんだ。

 七月を探そうと必死に無我夢中で走る。

 お祭り会場を一通り見て回ったけど、七月らしき影は見当たらない。