そう考えながらベランダの扉を開けると、砂埃の中に今一番会いたかった人がいた。

「星君……?」

 帰ってこれるのって明日の予定じゃ……。

 だけどこんなに嬉しいことはなく、たまらず星君に抱き着いた。

 その瞬間、星君の温かい体温に包まれる。

 あぁ、本物の星君だ……。

「な、七月……?」

 状況が分かっていないのか、私の名前を呼んで頭を撫でてくれる星君。

 私はそのことに嬉しくなって、ついこんな言葉を漏らした。

「良かった……っ。」
 
 星君が無事に戻ってきてくれて。また私に姿を見せてくれて。

 すっと一筋の涙が私の瞳から出てきて、悟られないように顔を隠す。

 星君はそんな情けない私を拒絶せずに、ぎゅっと抱きしめ返してくれた。

「もう、七月はいつから甘えたになったの?」

 優しく甘い声色が頭上から聞こえてきて、はっと我に返る。

 そうだ、ついさっき星君が好きだって自覚したばっかりだった……。

 急に恥ずかしくなって咄嗟に星君の腕から逃れようとする。

 だけど、星君がそれを許さなかった。