床が突然開いて、態勢を取れずにそのまま落ちる。

 そう言えば、七月に会った時もこんな体験したような……。

 僕はふっとそう思って、受け身の体制だけどうにか取った。

 そのまま大きな音を立てて人間界に戻ってきた。

「流石に痛いかも……。」

 怪我こそしていないが、何も力をかけなかったことによりこの前より痛みがある。

 ……って、ここは……。

 そう思って体を動かそうとした時、ガラッとドアの開く音が聞こえた。

「星君……?」

 七月の声が聞こえて顔を上げようとした時、ぎゅっと七月に抱き着かれた。

「な、七月……?」

 何が起こってるのか分からない僕を置いて、僕の胸に顔を押し当てている七月。

 うーと小さく声を漏らし、強い力で抱き着いてくる。

 七月から抱き着いてくるなんて初めて……。

 そんな嬉しさもあるけれど、今一番大事なのはどうして七月が抱き着いてきたのか。

「七月、どうしたの?」

 優しくぽんぽんと頭を撫でてそう聞くと、七月は微かに震えている声で呟いた。

「良かった……っ。」