神様の姿はやっぱり見当たらない。

 僕にはどこにいるかも検討がつかないのに、そんなときに呼び出しは普通に困る。

 神様にブーイングを申し立てようかな、なんて考えていた時に彗の返答が聞こえた。

「そうだねー、なんだか長引くらしいんだよねぇ。だから僕が今は神様代理ね。」

 実に嬉しそうに満面の笑みで言い放つ彗に「子供……。」と呟く。

 幸い彗には聞こえていないらしく、上機嫌なままだった。

 本当に子供っぽい彗を見ながら、僕はある事に気付いた。

「彗が代理だってことは、僕は七月のところにもう帰っていいんだよね?」

 確認するように聞くと、彗は笑顔のまま首を縦に振った。

「うん、もう用件は済んだしいいよ。」

 あっ、意外と素直に返してくれるんだ。

 そのことに多少驚きつつも、彗に背を向けて外に出ようとする。

 その時、不意に彗の声が耳に届いた。

「七月ちゃんのこと、幸せにしてあげてね。」

「……え?」

 それってどういう意味?という言葉を言う前に僕は彗によって落とされてしまった。