空から降ってきた星君

 七月の優しさは無意識だって知ってはいるけど……そう思ってしまう。

 それでも動揺を悟られないように、いつもの元気な声色で明日のことを切り出した。

「明日、僕ちょっと天界に戻らなくちゃいけなくなっちゃって。多分明後日には戻れると思うんだけど……。」

 ……戻れる保証なんて、ないけど。

 困った笑みを浮かべて、七月にそのまま伝える。

 きっと七月は僕がいなくても大丈夫。だってしっかりした子だもん。

 そう思ったけど、七月の表情は思ったよりも硬く、引きつっているように見えた。

「そっか、天界かぁ……。」

 僕の言葉を反芻してから、何故か暗い表情に変わった七月。

 それを不思議に思っていると、七月が少し上ずった声で僕に言った。

「分かった。……気を付けて。」

 ……やっぱり、七月変だ。

 僕が天界に戻るチャンスなのに、嬉しそうにする素振りも見せない。

 まさか……と考えて慌てて否定する。

 そんな都合の良いことなんて、あるわけがない。きっと何か思うことがあるからで……。

 そうやって無理に自分を納得させて、七月の表情をもう一回見る。