空から降ってきた星君

 え……?

 何で七月がそんな悲しそうにするの?何でそんな苦しそうにするの?

 だって七月は僕を帰らせようと必死だったのに……。

 自分で繰り返した言葉なのに妙な虚しさを覚えてしまう。

 ……七月と、離れたくない……っ。

 それは数日七月といたからこそ、思ってしまうことだった。

 七夕まで、後二日。

 七夕の日にそんなにあっさりとなんて、帰りたくない……っ。

「七月、ちょっとだけ外に出てくるね。」

 僕は腕の力を緩めて七月と距離を取るために外に出た。

 静かな音を立てて閉まったドアを見ながら、さっきとは違う虚しさが零れ出る。

「はぁ、馬鹿だ、僕。」

 七月と一緒にいられる時間は限られてしまっている。

 なのに自分から距離を取ることをするなんて。

「またそんなしょぼくれた顔してる、星らしくない。」

 後ろでアイツの声が聞こえてばっと振り返る。

 案の定、視界には謎の笑みを浮かべた流星が壁にもたれかかって僕を見ていた。

「しょぼくれた顔、かぁ……。」

 流星には言われたくないけど、実際のところそうなのだと思う。