「…ミナミ、一旦此処の問題解いて待ってて。分かんなかったら聞いて、あと終わったら教えて」
そして、先にカップルの方に教える事を決断した彼は、私にそう言い残して彼らの方へと身を乗り出した。
彼の声が若干の申し訳なさを含んでいた気がするのは、私の思い過ごしかな。
分かった。
そう返事をして教科書と向き合いながらも、私の耳はずっと滝口君の低くて聞き取りやすい声を拾い続けていた。
「違う、此処までが主語で動詞はこれ。…空良、お前途中式書いたか?答えが割り切れないのはあり得ないだろ」
黙々と問題を解いていく最中、滝口君は二人にかかりっぱなしで。
どんなに2人がが喚いてもー図書館なのにー、滝口君のスパルタ教育からは逃れられない。
私に魔の手が向けられていないだけ、ましだと思おう。
でも。
「…あれ?」
私が、自分に課せられた問題の半分程を解き終えた頃だろうか。
集中力が丁度途切れたその時、ひっきりなしに聞こえ続けていたエナ達の抗議の声が止んでいる事に気がついた。
ふっと顔を上げて横を見ると、
(寝てる…?)
机の上に頭を乗せ、全く同じ態勢で微動だにしないカップルの姿があった。
もしかしたら目を開いたまま休憩しているのかも、なんて考えたけれど、彼らの身体が規則正しく上下を繰り返しているのを見るに、寝ているという認識で間違いなさそうだ。
そして、先にカップルの方に教える事を決断した彼は、私にそう言い残して彼らの方へと身を乗り出した。
彼の声が若干の申し訳なさを含んでいた気がするのは、私の思い過ごしかな。
分かった。
そう返事をして教科書と向き合いながらも、私の耳はずっと滝口君の低くて聞き取りやすい声を拾い続けていた。
「違う、此処までが主語で動詞はこれ。…空良、お前途中式書いたか?答えが割り切れないのはあり得ないだろ」
黙々と問題を解いていく最中、滝口君は二人にかかりっぱなしで。
どんなに2人がが喚いてもー図書館なのにー、滝口君のスパルタ教育からは逃れられない。
私に魔の手が向けられていないだけ、ましだと思おう。
でも。
「…あれ?」
私が、自分に課せられた問題の半分程を解き終えた頃だろうか。
集中力が丁度途切れたその時、ひっきりなしに聞こえ続けていたエナ達の抗議の声が止んでいる事に気がついた。
ふっと顔を上げて横を見ると、
(寝てる…?)
机の上に頭を乗せ、全く同じ態勢で微動だにしないカップルの姿があった。
もしかしたら目を開いたまま休憩しているのかも、なんて考えたけれど、彼らの身体が規則正しく上下を繰り返しているのを見るに、寝ているという認識で間違いなさそうだ。



