滝口君は優しい声を掛けると共に、
幼子にやるみたいにそっと、俯いたままの私の頭を撫でてくれた。
その瞬間、気のせいかな、自分の心臓の鼓動が速まった気がした。
「おお、神葉!見ろよこれ、団子の抱き枕買っちゃった…あれ、?」
すぐに4階に到着した私達を迎え入れてくれたのは、お目当てだったお土産を購入したらしい空良君だった。
彼の嬉しそうな声と跳ねるような足音が近づいて来て、私の目の前でぴたりと止まる。
「どうしたの、」
続いて聞こえてきた小さな声からは、何の覇気も感じられない。
涙目で地面を見つめたままの私にも、彼の明るさをそぎ取った原因が私にあることは嫌という程自負していた。
「いや、これは」
空良君が滝口君に目で説明を促したのか、隣の人の感情のこもらない声が鼓膜を震わせる。
瞬間。
「沙羅」
私が1階でずっと探していた声が聞こえ、ピンク色の靴下を履いた人が目の前に立ったのが見えた。
エナ。
呼応する様に口を動かしたけれど、言葉の代わりに嗚咽が漏れる。
私は相当な恐怖と対峙していたんだな、なんて、ぼんやりと考えた。
「ごめんね沙羅、一言声掛けてから上行くべきだったね」
彼女の腕が伸び、未だに震えている私の背中に回される。
幼子にやるみたいにそっと、俯いたままの私の頭を撫でてくれた。
その瞬間、気のせいかな、自分の心臓の鼓動が速まった気がした。
「おお、神葉!見ろよこれ、団子の抱き枕買っちゃった…あれ、?」
すぐに4階に到着した私達を迎え入れてくれたのは、お目当てだったお土産を購入したらしい空良君だった。
彼の嬉しそうな声と跳ねるような足音が近づいて来て、私の目の前でぴたりと止まる。
「どうしたの、」
続いて聞こえてきた小さな声からは、何の覇気も感じられない。
涙目で地面を見つめたままの私にも、彼の明るさをそぎ取った原因が私にあることは嫌という程自負していた。
「いや、これは」
空良君が滝口君に目で説明を促したのか、隣の人の感情のこもらない声が鼓膜を震わせる。
瞬間。
「沙羅」
私が1階でずっと探していた声が聞こえ、ピンク色の靴下を履いた人が目の前に立ったのが見えた。
エナ。
呼応する様に口を動かしたけれど、言葉の代わりに嗚咽が漏れる。
私は相当な恐怖と対峙していたんだな、なんて、ぼんやりと考えた。
「ごめんね沙羅、一言声掛けてから上行くべきだったね」
彼女の腕が伸び、未だに震えている私の背中に回される。



