真っ暗なスマホの画面には『滝口君』と、リーダーの名前が記載されていた。
「あ、」
唯一知っている人からの着信に、荒波の如く荒れていた私の心が少しだけ落ち着くのを感じる。
大きく深呼吸をした私は、震える指で通話ボタンをタップした。
「もしも」
『ミナミ、今何処に居る?そろそろ日も暮れてきたし、俺達も早いとこ合流した方が良い』
私の口を継いで出た言葉はいとも容易く遮られ、代わりに滝口君のつっけんどんな声が流れ込んできた。
自分の知っている声が聞こえるだけで、人はこんなにも安心するんだね。
私は、声が震えないように最大限の注意を払いながら現在地を伝えた。
『分かった。俺3階に居るんだけど、富田と空良が4階に居るっぽいからそっちと合流して下降りるわ。そこから動くなよ』
早口で要件だけを伝えた彼が、すぐに電話を切ろうとしているのが嫌でも伝わってくる。
「ま、待って…!」
反射的に、私はそう口走っていた。
『ん?』
「先に、こっち……」
滝口君が4階まで行ってからじゃないと皆と合流出来ないだなんて、きっとそれまで私の心は持たない。
でも。
“先にこっちに来て欲しい”
喉元まで出かけた言葉を、ゴクリと飲み込んだ。
毒舌な彼の事だ、そんな事を言ったら変な事を言われるだろうしからかわれるだけでは済まされないだろう。
「あ、」
唯一知っている人からの着信に、荒波の如く荒れていた私の心が少しだけ落ち着くのを感じる。
大きく深呼吸をした私は、震える指で通話ボタンをタップした。
「もしも」
『ミナミ、今何処に居る?そろそろ日も暮れてきたし、俺達も早いとこ合流した方が良い』
私の口を継いで出た言葉はいとも容易く遮られ、代わりに滝口君のつっけんどんな声が流れ込んできた。
自分の知っている声が聞こえるだけで、人はこんなにも安心するんだね。
私は、声が震えないように最大限の注意を払いながら現在地を伝えた。
『分かった。俺3階に居るんだけど、富田と空良が4階に居るっぽいからそっちと合流して下降りるわ。そこから動くなよ』
早口で要件だけを伝えた彼が、すぐに電話を切ろうとしているのが嫌でも伝わってくる。
「ま、待って…!」
反射的に、私はそう口走っていた。
『ん?』
「先に、こっち……」
滝口君が4階まで行ってからじゃないと皆と合流出来ないだなんて、きっとそれまで私の心は持たない。
でも。
“先にこっちに来て欲しい”
喉元まで出かけた言葉を、ゴクリと飲み込んだ。
毒舌な彼の事だ、そんな事を言ったら変な事を言われるだろうしからかわれるだけでは済まされないだろう。



