「ご、ごめんなさい…人違いでした」
慌てて謝ると、相手もぺこりと頭を下げて友達らしき女子と話し始めた。
彼女がすぐに私から注意を逸らしてくれたからいいものの、まだ動悸が止まらない。
(ちょっと待って、)
エナは、何処にいるの?
先程、彼女の肌色の丸の中にしっかりと見えた“不快感”を再び思い出してしまった私は、慌てて首を振って辺りを見渡した。
エナは私と同じ制服を着ていて、スカート丈は膝の10cm上で切っている。
ピンク色の髪はポニーテールに結わえられていて、右手人差し指には花の形がかたどられたリング、足元は髪と同じ色の靴下と某ブランドのローファー。
鈴を転がす様な笑い声も楽しそうに手を叩く動作も、ひとつひとつ覚えている。
さっきまで一緒に話していたんだから、特徴ははっきりと思い出せるんだ。
それなのに。
「何処に居るの…?」
いくら背伸びをしてみても、行き交う生徒達の足元を観察してみても、エナの持つ特徴と一致する人を発見する事は出来なかった。
「エナ、…?」
いつの間にか、ハンカチの事なんてどうでも良くなっていた。
彼女を探そうと辺りに目を配る度に私の目に入ってくるのっぺらぼう、のっぺらぼう、のっぺらぼう。
まるで妖怪の居る世界に迷い込んだ様な感覚に陥って、全身の毛が総毛立つ。
慌てて謝ると、相手もぺこりと頭を下げて友達らしき女子と話し始めた。
彼女がすぐに私から注意を逸らしてくれたからいいものの、まだ動悸が止まらない。
(ちょっと待って、)
エナは、何処にいるの?
先程、彼女の肌色の丸の中にしっかりと見えた“不快感”を再び思い出してしまった私は、慌てて首を振って辺りを見渡した。
エナは私と同じ制服を着ていて、スカート丈は膝の10cm上で切っている。
ピンク色の髪はポニーテールに結わえられていて、右手人差し指には花の形がかたどられたリング、足元は髪と同じ色の靴下と某ブランドのローファー。
鈴を転がす様な笑い声も楽しそうに手を叩く動作も、ひとつひとつ覚えている。
さっきまで一緒に話していたんだから、特徴ははっきりと思い出せるんだ。
それなのに。
「何処に居るの…?」
いくら背伸びをしてみても、行き交う生徒達の足元を観察してみても、エナの持つ特徴と一致する人を発見する事は出来なかった。
「エナ、…?」
いつの間にか、ハンカチの事なんてどうでも良くなっていた。
彼女を探そうと辺りに目を配る度に私の目に入ってくるのっぺらぼう、のっぺらぼう、のっぺらぼう。
まるで妖怪の居る世界に迷い込んだ様な感覚に陥って、全身の毛が総毛立つ。



