そして先日、滝口君が”ミナミが人の笑顔を見れる日が来ますように”、私が”滝口君の願いが叶いますように”、と、お互いの事を想って参拝していた事が新たに判明。

神様は本当に私達の道を開いてくれたんだ、と、再度2人で涙を流したんだ。



「俺ら、8年前に1回会ってたんだもんな。それって凄くね」


手で自分の顔を扇いでいる滝口君が、木で出来た階段を上りながら感慨深げに呟いた。


「そうだよね。思い出すと、最悪な出会いだったけど…」


「今謝ったら突き落とすぞ」


滝口君の声は、毒舌混じりのくせに不思議と温かい。


笑みを零した私は、小声でありがとう、と付け加えた。



「これ、此処に置くね」


そのまま階段を上がりきった私は、しゃがみ込んであるものをそっと賽銭箱の横に置いた。


「何それ」


「神様に向けて書いた手紙」


手をパンパンと叩いて立ち上がった私は、笑顔で滝口君の方を振り向く。


滝口君の顔はのっぺらぼうだったけれど、私にははっきりと分かる。


彼が今、この前私に見せたあの笑顔を向けている事に。


「馬鹿なくせに」


「どうしても、感謝の気持ちを伝えたくて」