あなたの落とした願いごと

自分で自分を崖から突き落とす様な発言をした私は、涙を堪えて下手くそな笑顔を作った。


こんな事を言っても現実は何も変わらないのに、滝口君を困らせてしまうだけなのに。

私って、本当に馬鹿みたい。



「…何言ってんだよ、そんなわけないだろ」


けれど。


暫しの沈黙の後に滝口君が放った言葉は、普段私を貶すのとは真逆の意味を持ち合わせていた。


「…?」


てっきり、滝口君も笑うとばかり思っていたのに。


思いもよらなかった展開に、過去の自分の行いが認められて救われた気がして、俯いた私の目から一筋の涙が頬を流れ落ちた。


「…俺、親父が、毎朝参拝しに来る女子高生が居るって言ってたの聞いた事があってさ。それ、ミナミだったんだな」


「っ…」


滝口君の声は流れるように美しくて、それがまた涙を誘う。


目頭を押さえながら、私は彼の話に耳を傾けた。


「その話聞いた時は、随分熱心な奴も居るんだなって思ってたけど、…正直、尊敬してた」


「尊敬?」


「うん」


滝口君の言葉の意味が分からずに聞き返すと、彼が頷いたのが気配で分かった。



「……」



でもその後、長い長い沈黙が私達の間を流れて。


彼は私の肩を抱き寄せたまま、必死に言葉を探しているように思えた。