間の抜けた声を出した私に、
「どこまで、聞いてた?」
滝口君は、再度あの声で尋ねてきた。
その強い口調は反論を許さず、色とりどりの花火で浮かび上がった琥珀色の目は何も映していなくて。
滝口君のあまりの変わり様に、唇が震えて止まらない。
でも。
「滝口君が、跡取りじゃ、ないって…」
私は、花火が空を舞って落下する時のようなか細い声で真実を告げたんだ。
その瞬間、私達の間に沈黙が流れた。
この時の気まずさは、今後一生味わいたくないと思えるもので。
そして、しばらく私をじっと見つめていたのであろう彼は、はあっ、と息を吐き。
「誰にも言うな。いいな」
心の芯まで凍る冷ややかな声を残し、私の頭を撫でるとその場から去って行ってしまった。
「えっ、」
残された私は、ヒュッと息を飲んだ。
滝口君は、私の言葉に対して否定をしなかった。
それってつまり、彼は本当に滝口神社の次期宮司ではないという事…?
「ま、待って!ごめん、勝手に聞いちゃってごめん!」
そこまで考えた私は我に返り、小走りに滝口君の背中を追い掛けた。
下駄は思ったよりも走りづらくて、すぐ転びそうになる。
滝口君が次期宮司なのかそうでないのか、今ここで聞いてはっきりさせたかったけれど、
多分彼も、そんなのは望んでいないと思う。
「どこまで、聞いてた?」
滝口君は、再度あの声で尋ねてきた。
その強い口調は反論を許さず、色とりどりの花火で浮かび上がった琥珀色の目は何も映していなくて。
滝口君のあまりの変わり様に、唇が震えて止まらない。
でも。
「滝口君が、跡取りじゃ、ないって…」
私は、花火が空を舞って落下する時のようなか細い声で真実を告げたんだ。
その瞬間、私達の間に沈黙が流れた。
この時の気まずさは、今後一生味わいたくないと思えるもので。
そして、しばらく私をじっと見つめていたのであろう彼は、はあっ、と息を吐き。
「誰にも言うな。いいな」
心の芯まで凍る冷ややかな声を残し、私の頭を撫でるとその場から去って行ってしまった。
「えっ、」
残された私は、ヒュッと息を飲んだ。
滝口君は、私の言葉に対して否定をしなかった。
それってつまり、彼は本当に滝口神社の次期宮司ではないという事…?
「ま、待って!ごめん、勝手に聞いちゃってごめん!」
そこまで考えた私は我に返り、小走りに滝口君の背中を追い掛けた。
下駄は思ったよりも走りづらくて、すぐ転びそうになる。
滝口君が次期宮司なのかそうでないのか、今ここで聞いてはっきりさせたかったけれど、
多分彼も、そんなのは望んでいないと思う。



