あなたの落とした願いごと

滝口君と一緒に夏祭りに来れて、本当に良かった。


席がたまたま隣だった事から始まったこの素敵な関係がいつまで続くか分からないけれど、

可能な限り、一緒に同じ景色を見れたらいいな。



「お面どれがいい?」


そのまま滝口君に着いていくと、すぐにお面屋さんに辿り着いた。


神社ならではの狐やひょっとこ、どこか猿田彦大神を連想させる天狗のお面以外にも、アニメのキャラクターを象ったお面も売られていて。


滝口君にそう聞かれた私は、そっと狐のお面を指さした。


「私、狐にしようかな。神社っぽくて可愛いし」


私の回答に、ふーん、と心の籠らない相槌を打った滝口君は、


「すいません、この2つ下さい」


と、私の選んだ狐のお面と、

その隣に売られていた、色違いの狐のお面を指さしたんだ。


「えっ!?」


滝口君が、私と色違いのお面を…。

どうしてそうなった、滝口君も同じのが欲しかったの?

いやでも、これってお揃いみたいで心臓が…。


何が起こったのか理解が追い付かず、あわあわしている間にお会計が終わってしまった。


「ほい」


ぬっと差し出された大きな手には、私が欲しがった狐のお面が乗っている。


「あ、ありがと、…滝口君も、それが欲しかったの、?」


あまりに素晴らしい偶然に、声が震えているのが分かる。