あなたの落とした願いごと

「そんなん、受けられない」


キラキラと目を輝かせ、人差し指を立てて重大な発見をしたかのように勿体ぶったのに、難なく切られてしまった。


「弟はよくやってるみたいだけど、…俺は、そんな事しねえから」


滝口君の声は低くて強くて、揺るがない何かを感じる。


その姿は、何処か勇ましくも思えた。


家柄に頼らず、あくまでも自分の力だけで突き進もうとする姿、素敵だな。


「そっか。でも、そっちの方が滝口君らしいかも」


「らしいって何だよ」


意味分かんね、と、滝口君の声が笑っている。


あははっ、と、釣られて笑みを零しながら、私は少しの違和感を覚えていた。



滝口君はどうして、


家柄故の特別待遇を受けない、ではなく、


“受けられない”と言い切ったのだろう、と。