一度自分と面識を持った人の特徴は、全て手帳に書き込んでいるから断言出来る。
名前を聞けば何か分かるかもしれないけれど、少なくとも私は、この人と面識がない。
(……)
目を泳がせた私が、ごめん、知らないや、と言いかけた時。
「去年8組だった神葉君だよね?もちろん知ってるよ、同じクラスなんて嬉しい!これからよろしくね!」
空良君の時とは明らかに違うウキウキした声で、エナが彼の名を呼んだ。
「しん、ば…?」
「沙羅、この人神葉君だよ!空良と仲が良くて、学年一のモテ男!」
ぽかんと口を開ける私に、エナが慌てた様に両手を振り回しながら説明する。
「…あ、」
エナが彼の名前を呼んだことにより、周囲の取り巻き達のどよめき具合が大きくなる。
私は去年3組だったから彼の姿を見た事は無かったけれど、その名前には聞き覚えがあった。
エナがずっと昔に興奮気味に話してくれた、空良君の親友の男の子。
空良君と同じ部活で容姿端麗頭脳明晰、加えてスポーツ神経は抜群。
定期試験では学年首位の座に君臨し続け、学年の全女子が1度は恋するという噂まで広がった、非の打ち所のない完璧な人。
一日最低10回は女子達が話題にしている、その人の名は。
「滝口 神葉(たきぐち しんば)です。神様の葉っぱって書いて、神葉。席隣だし、よろしく」
名前を聞けば何か分かるかもしれないけれど、少なくとも私は、この人と面識がない。
(……)
目を泳がせた私が、ごめん、知らないや、と言いかけた時。
「去年8組だった神葉君だよね?もちろん知ってるよ、同じクラスなんて嬉しい!これからよろしくね!」
空良君の時とは明らかに違うウキウキした声で、エナが彼の名を呼んだ。
「しん、ば…?」
「沙羅、この人神葉君だよ!空良と仲が良くて、学年一のモテ男!」
ぽかんと口を開ける私に、エナが慌てた様に両手を振り回しながら説明する。
「…あ、」
エナが彼の名前を呼んだことにより、周囲の取り巻き達のどよめき具合が大きくなる。
私は去年3組だったから彼の姿を見た事は無かったけれど、その名前には聞き覚えがあった。
エナがずっと昔に興奮気味に話してくれた、空良君の親友の男の子。
空良君と同じ部活で容姿端麗頭脳明晰、加えてスポーツ神経は抜群。
定期試験では学年首位の座に君臨し続け、学年の全女子が1度は恋するという噂まで広がった、非の打ち所のない完璧な人。
一日最低10回は女子達が話題にしている、その人の名は。
「滝口 神葉(たきぐち しんば)です。神様の葉っぱって書いて、神葉。席隣だし、よろしく」



