あなたの落とした願いごと

「は、何その反応」


もちろん、何が起こったのか分からない滝口君はチョコの包み紙を弄り回しながら2人の方に顔を向けた。


彼は多分、何だこいつら、みたいな顔をしているんだろう。


「神葉君が廊下行ってた間、4人で夏祭り行きたいねって話してたの。絶対楽しくなるねって盛り上がってたのにー!」


額から手を離したエナが、がっくりと頭を垂れた。


「そんなん、お前らだけで行けば良くね?」


「それじゃあ味が出ないって!それにお前、祭りの醍醐味のピーヒャラドンドンするやつ、ずーっと弟に任せっきりじゃんか!俺、あれを神葉がやってるの見たかったのにー」


神葉君の塩対応な声と空良君の感情が爆発した声は、大きさも太さも何もかもが違う。


「ピーヒャラドンドンって何?」


そんな中、空良君の台詞に気になる単語が紛れていたから質問すると、


「祭囃子の事。夏祭りの時、山車の上で太鼓叩いたり笛拭いたりしてるあれだよ。俺の神社では神職に関わる人しか出来ないんだけど、俺は面倒臭かったから弟にやらせてる」


何とも、滝口君らしい返答が返ってきた。


なるほど、弟がやっているならまだ良いけれど、

滝口君、あんなに神社が好きなのに…。


「でも、滝口君も今年はやれば良いのに」


一度は納得したものの、やはり彼の気を変えさせられないかと遠慮がちに提案してみたけれど。