その声に反射して顔を上げるものの、そもそも誰がその台詞を発したのかすら分からなくて。
それなのに、教室内に居た他のクラスメイトはいきなり静まり返り、黒板の前に居る誰かの方を向いているのが見える。
そして、元気過ぎるその声の主は、
「俺の席は此処か…あっ!見てよ、俺ら席前後なんだけど!」
黒板に貼られた席順の紙を見ていたようで、彼の後ろから着いてきていた男子の方を振り向いた後、真っ直ぐこちらに向かって歩いてきた。
ミルクティー色の髪に、少し着崩した制服と新調したらしいピカピカの上履きを身に付けている彼は、襟元に巻かれたネクタイをブンブンと振り回している。
そして、彼はエナの隣に置かれた机ー断じて椅子ではないーによっこらせ、と腰掛けた後にふっと横を向き。
「あれ、詩愛?俺ら同クラ?」
馴れ馴れしい様子でエナに話しかけた。
「同クラも何も、うちら席隣なんだけど!偶然にも程があるよね、これって奇跡じゃない?」
それに対し、エナもにこやかに対応していて。
「いやあー、彼女と席が隣だなんて、俺今年の運全部使った気がする!」
あはははっ、と笑い声をあげた彼は、
「あれ、沙羅ちゃんだ!おはよ!」
と、私に気付いて話しかけてきた。
怪しまれないように素早く彼の目に視線を送ると、その目は屈託なく真っ直ぐに私を見つめていて。
それなのに、教室内に居た他のクラスメイトはいきなり静まり返り、黒板の前に居る誰かの方を向いているのが見える。
そして、元気過ぎるその声の主は、
「俺の席は此処か…あっ!見てよ、俺ら席前後なんだけど!」
黒板に貼られた席順の紙を見ていたようで、彼の後ろから着いてきていた男子の方を振り向いた後、真っ直ぐこちらに向かって歩いてきた。
ミルクティー色の髪に、少し着崩した制服と新調したらしいピカピカの上履きを身に付けている彼は、襟元に巻かれたネクタイをブンブンと振り回している。
そして、彼はエナの隣に置かれた机ー断じて椅子ではないーによっこらせ、と腰掛けた後にふっと横を向き。
「あれ、詩愛?俺ら同クラ?」
馴れ馴れしい様子でエナに話しかけた。
「同クラも何も、うちら席隣なんだけど!偶然にも程があるよね、これって奇跡じゃない?」
それに対し、エナもにこやかに対応していて。
「いやあー、彼女と席が隣だなんて、俺今年の運全部使った気がする!」
あはははっ、と笑い声をあげた彼は、
「あれ、沙羅ちゃんだ!おはよ!」
と、私に気付いて話しかけてきた。
怪しまれないように素早く彼の目に視線を送ると、その目は屈託なく真っ直ぐに私を見つめていて。



