「神葉君!英語の赤点回避出来た!本っ当にありがとう!」


英語と古文の答案返却がされた後の、お昼休み。


椅子の向きだけ変えて4人で昼食を取っている最中、エナがメロンパンを頬張りながら滝口君に深々と頭を下げた。


因みに彼女は願掛けを理由に髪色を変え、今はブルーブラックの髪を三つ編みにしている。


「おー、何点だよ」


あれ程脅しをかけていたはずが、まるっきり興味のなさそうに質問をする滝口君が面白い。


「47!平均が64、赤点ラインは32!嬉し過ぎて泣きそうなんだけど!」


「エナ、パンの形崩れちゃうよ」


メロンパンを潰す勢いで手を叩くエナが可笑しくて笑ったら、お弁当に入っていた卵焼きを取り落としそうになった。


彼女は切実に夏休みの補習を回避したかったらしく、その喜びは無事に古文の赤点を回避した私にもしっかり伝染しているんだ。



「それ、俺の英語の点の丁度半分だわ」


そんな中、購買で買ってきたという塩パンを口にしながら、学年一の天才は衝撃的な台詞を投下する。


「え…」


つまり、彼は英語で94点をとったということ。


(滝口君って、私達と根本的に脳の作りが違うのかな?)


彼と学業で争おうなんて、今後絶対に考えてはいけない。