砂浜に描いたうたかたの夢

まだクラスメイトが残っているのにも関わらず、入口付近で大声を上げた。



「変……? もしかして絵日記のこと?」

「そうですよ! せっかく計画立てたのに、またやり直しだなんて……」



高校生初めての夏休み。宿題は、国語の読書感想文をはじめ、なんと全教科分。

以前父に説明したように、既にいくつかの教科はもらっていて、一足早く今週から自由研究に取り組んでいる。

しかし、量が多いので、無計画だと頭の中が混乱してしまう。

土日で熟考して、やっとの思いで立てたのに……3日前の終礼の時間、突然無地のノートを配り、『絵日記を書いてきて』と言い出したのだ。



「ただでさえ宿題多いのに、いきなり増やさないでくださいよ!」

「……ごめんな」



消え入りそうな声で謝られた途端、一気に罪悪感が襲ってきた。

八つ当たりしたって、文句を言ったって、現状が変わるわけじゃない。困らせるだけなのは分かってる。

学年主任の先生から突然言われたとか、事情があったのかもしれない。