砂浜に描いたうたかたの夢

細長い彼の指が隣の絵を指差した。

むむむ、ざっくりすぎたかな。何これって顔してる。


「この人はひいおばあちゃん。昔話をしてたら写真を見せてくれたの」



描いたのは、結婚当初の写真を眺める曾祖母。
お昼ご飯を食べた後もずっと見てて、こっそりスケッチしたのだ。



「なるほど。だから軍服なんだ」

「うん。この時のひいおじいちゃん、今の私と目元がすごく似てたんだよ!」

「マジ? 珍しいね。ってことは、凛々しいイケメンさんだったのか〜」



それは……間接的に私のことも褒めてる? 凛々しいっていったら、しっかりしてそうなイメージだし。まぁ、所詮見掛け倒しなんだけど……。



「凪くんは誰に似てる?」

「おばあちゃん。俺も一花ちゃんと同じで結婚式の写真見せてもらって。そっくりって言われた」



ほほぉ。だとしたら、品が漂う落ち着きのあるお嬢さんって感じなのかな?

いつかのDMで、小さい頃は女の子に間違われてたって言ってたし。