砂浜に描いたうたかたの夢

曇りだからか日傘なし。横顔を見た途端すぐ分かった。

彼の元に駆け寄り、砂浜に腰を下ろす。



「あっ、持ってきてくれたんだ」

「えへへ。ちょっと待ってね」



リュックサックを開けて絵日記を取り出し、下半分を下敷きで隠して彼に見せた。

見られてまずいことは書いてないんだけど、読まれたら恥ずかしいので一応隠す。



「これが夜の海で、こっちが、朝と昼と夕方の海!」

「おお〜っ。初日から盛り沢山だね。特に昨日の絵、グラデーションになっててすごく綺麗」

「ありがとう」



嬉しそうな横顔を、にやけた顔で眺める。

推しが笑顔で私の絵を見てる……! しかも褒め言葉まで……! ありがたや、ありがたや……。


心の中で拝みつつ、最後に描きたてほやほやの絵を見せた。



「ジョニーと、お友達のシロくんです!」

「わぁ、可愛い」



頬を緩める凪くん。実は帰り際にお願いして、写真を撮らせてもらったのだ。



「と……これは?」