砂浜に描いたうたかたの夢

「一花ちゃん、今まで誤魔化してきてごめんね」



白ご飯を茶碗によそっていると、祖母が謝ってきた。



「ううん。もしかして、話が長くなるからダメだったの?」

「ええ。『惚気話が始まるから絶対聞くな』って、結婚前に口酸っぱく言われたくらい。だけど……」



祖母の視線が動き、伯母とパチッと目が合った。

まさか……。



「おばちゃんも同じように言われてたんだけど、気になってね。気づいたら2時間経ってた」



てへへとお茶目な笑顔を見せた伯母。


2時間⁉ 映画1本分も話してたの⁉ それなら禁句になってもおかしくはないか……。

しかも、最愛の夫に似てるのならますます話が弾みそうだし。謎が解けてスッキリした。


ただ……正直な気持ち、上品なひいおばあちゃんに似たかったな。







昼食を終えて宿題に没頭すること数時間。切りのいいところで中断し、海へ向かった。



「凪くーん!」



昨日と同じ場所に立って海を眺めている彼を見つけ、思いきり手を振る。