砂浜に描いたうたかたの夢

「次が銀婚式。そして最後が、結婚当初の写真だよ」



今度はファイルから2枚の写真が出てきた。



「っ……!」



それがテーブルに置かれた瞬間、弓なりに細めていた目を大きく見開いた。

銀婚式も結婚当初も、どちらも白黒写真。そして若い。

しかし、私が驚いたのはそこではなく──。



「うっわ! めちゃめちゃ一花そっくり!」

「本当! 目元がまんま!」



先に伯母と智が声を上げた。

着物姿の曾祖母の隣に立つ、軍服姿の曾祖父。
私の男バージョンといっても過言ではないくらい、顔が瓜二つだったのだ。



「おお、確かにこう見るとすごく似てるなぁ」

「そうね。これは間違えるのも無理はないわね」



祖父母も写真を眺めては、納得したように頷いている。

そっか。私の顔は父親似でも母親似でもなく、身内公認の曾祖父似だったのか……。


すると、壁掛け時計がポーンと鳴り、あっという間に正午に。

祖母と伯母と一緒に台所へ向かい、昼食の準備に取りかかる。