砂浜に描いたうたかたの夢

言い終わる前に智の脇腹を肘で突いた。

本当、こいつときたら……。もう1回彼女と喧嘩してしこたま怒られろっ。



「18で結婚かぁ。写真ある?」

「あるよ。ちょっと待っててね」



そう尋ねると祖父が席を立ち、写真を取りに隣の客間に入っていった。



「ビックリよね。おじいちゃんとは同い年なのに、親は私のほうが10個も上だったのよ」

「10個も⁉」



口を開いた祖母に激しく反応した。

そう、だよね。10代で結婚したなら、母親になるのも早いはずだ。

彼氏がいたことがない私には、結婚も出産も想像できないや。



「持ってきたよ〜」



襖が開いて祖父が戻ってきた。



「金婚式の写真と、ウェディングドレスの写真だよ」



テーブルに置かれた大きめの写真を食い入るように見る。


花柄のワンピースを着て座る曾祖母の隣に、スーツ姿の曾祖父が微笑んで寄り添っていた。

もう1枚は、純白のドレスと真っ白なタキシードに身を包んでいて、金婚式の時よりも満面の笑顔を浮かべている。


幸せ感たっぷり。隣で写真を見てる曾祖母もなんだか嬉しそう。