砂浜に描いたうたかたの夢

「……ねぇ、そのおでこの傷、どうしたの?」



シートを貼った後、さも今見つけたと言わんばかりに尋ねた。


この部屋にはおじいちゃんもおばあちゃんも、香織おばさんも智もいなければ、父もまだ来ていない。私達2人だけ。

真相を知る絶好のチャンス……!



「あぁ? これかい?」

「うん!」



懐かしい返事に瞳孔をかっ開く。

ドキドキとワクワクで、心臓がそわそわしている。

薄さからしたらだいぶ昔のものみたいだけど……どうか、まだ覚えていますように。



「この傷はねぇ、私が小学生の頃にできたんだよ」

「そうなんだ。走ってて転んだとか?」

「いや、階段から飛んだ時に」

「ええっ⁉」



予想の遥か上をいく答えに口をあんぐりと開けた。

着地に失敗して、顔面から地面に突っ込んだとのこと。


階段から飛び降りたって、野性的だな……。

でも、昔はゲームとかスマホとか、遊ぶものなんてそんなになかっただろうし。外遊びが普通の時代だったんだもんね。


今の雰囲気とは正反対でビックリだけど……一体どこに怒鳴る理由があるんだろう?