「年末でも、来年の春でも、生きてる間は何年でも待つから!」

「……ごめんね」



心底申し訳ないと思っているのか、眉尻は下がったまま。

全然怒ってないんだけどな。まぁでも、それだけ彼が優しくて真面目な証拠。

海にいたのも、私と同じで束の間の休息中だったのかもしれない。


──ブーッ、ブーッ。


すると、左手に持ったスマホが振動し始めた。彼に断りを入れ、応答ボタンを押す。



「はいもしもし?」

【もしもし、今どこ?】

「海だよ」

【は⁉ まだいんの⁉】



素直に答えたら、「マジかよ……」と衝撃を受けたような声が聞こえた。

そんなに驚く? と思ったけれど、時計を見たら1時間以上が経過していた。

昨日と同じ炎天下の中なのに、こういう時はあっという間だから不思議だよね。



【じいちゃんとばあちゃんが老人会に行くから、早く帰ってきてほしいって】

「はーい」



短く返答し、電話を切った。



「ごめん、従兄から留守番頼まれた」

「そっか。なら、そろそろ解散しようか」

「……うん」