嫌味ったらしくほじくり返すと、眉尻を下げてしょんぼり。


確かにお父さんの血を濃く受け継いでいるのなら、将来お酒に呑まれて大暴れ。……なんてことになるのは絶対に嫌。

でも、何度も挑戦し続けるところは受け継いで良かったと心底思う。



「今も気にしてるなら、認定試験は受けないの?」

「受けたいなとは前々から思ってはいるんだが、もう長年勉強してないからなぁ……」

「大丈夫だよ! 地頭は悪くないんだし、コツコツ勉強すればいけるよ! 私、差し入れするからさ!」

「そうか……? ちなみに、何を?」

「特大サイズの卵焼き! 合格したらケーキも作って盛大に祝ってあげるよ!」

「そこまで言うなら……」



高速道路のゲートをくぐった父は、アクセルペダルを踏み込んで速度を上げた。


今も昔も、荒れると少々面倒。でも、なんだかんだ家族思い。

まだ将来の夢を話す勇気はないけど……こうやって、毎日少しずつ会話を増やしていけたら。

家族の前で、堂々と発表できる日が来るかな。


凪くんが遺した2枚の宝物が入ったバッグをそっと抱きしめた。