砂浜に描いたうたかたの夢





「今日はありがとうございました」

「こちらこそ。またいつでも来てね」



昼食を平らげて少し休憩した、午後1時半過ぎ。

玄関で手を振るヒロマサさん達に深くお辞儀をし、曾祖母の家を後にした。帽子を被って目的地の海岸まで足を運ぶ。



「楽しかったなー。卵焼きも絶品だったし、凪が生粋の女顔だってことも分かったし!」

「おい、蒸し返すな。コンプレックスなんだぞ」

「え〜っ、品があるって素敵だと思うけどなぁ。ねぇ鋼太郎」

「そうだな。雰囲気が柔らかいのは少し憧れる」



頷きながら口を揃える2人。

可愛い系の桃士ときつめの印象の鋼太郎からすると、俺の顔は羨ましいのだそう。

けど、昔はこの顔が原因で女みたいだとからかわれたことがあるので、正直複雑な気持ち。



「やっぱお前らもそう思う? 次来る時女装してみたら? 喜んでお小遣いくれるかもよ?」

「馬鹿。そこまでして欲しくねーよ」



隣を歩く理桜の脇腹を肘で突いた。

そんな騙し取るようなことしたら天国のばあちゃんが悲しむ。というか、その前にひいじいちゃんに怒られるだろ。

ったく、調子のいいやつなんだから。