「はい。毎日会ってました」



父の目を真っ直ぐに見据える。


号泣して数時間が経過。赤みはだいぶ引いているけれど、まぶたの腫れはまだ治まっておらず。

これ以上不安を煽りたくなかったが、ここで嘘を吐くと全貌を明らかにすることができない。


帰省中の曾祖父も見守っている手前、偽りなく答えた。



「お父さんも知ってるの?」

「……あぁ。この子は浅浜(あさはま) 凪くん。一花と智くん以外は、みんな1度会ってるんだ」



少し目を伏せてフルネームを口にした父。

浅浜さんって言うんだ。初めて知った。
なるほど。だからみんな驚いてたんだ。やらかしたわけじゃなくて良かった……。



「ちなみに、どこで会ったの?」

「……葬儀場」

「えっ……もしかして先月会ってたの?」

「あぁ。実は彼とは遠い親戚なんだ。だけど──先月、ここの海で亡くなったんだよ」